証人のイベント時、片隅でPhantom2を飛ばして会場の様子を撮影していたわけですが、その際に機体に興味を持って質問してくる方がいらっしゃいました。その話の流れで「スマートフォンを積んだら、Ingressのポータル攻略に使える」という話をしたら、「共同購入してやってみるか!」って言っておられました。
折角なので、その件を書いておこうと思います。
やるからには、十分な練習と覚悟を
初めに書いておきますと、マルチコプターの信頼性は絶対じゃありません。
風などの天候条件や、電波条件による障害、そしてマシントラブルもあります。そして、現在のマルチコプター墜落の大半の原因は操縦者の操作ミスです。未経験者がいきなり挑戦するようなものでもないし、飛行経路上の安全確保を行った上で飛ばすものです。万が一の事故に備えて、趣味であっても保険は必須です。
と、いう前提で、機体の話をしていきます。
Ingressポータルハック向けマルチコプター機体
必要機材を全て新規購入するなら、総額25万円コースとお考えください。
以下、私の考える内訳。
- 機体:DJI Phantom2 Vision+
- カメラ映像用:Androidタブレット or iPhone(iPadも可)
- 機体取付用:Androidスマートフォン(SIM契約済み)
- 手元操作用:Androidスマートフォン(SIM契約済み)
- リモート操作アプリ:Mobizen
これに追加して、予備バッテリーくらいを2本程度は購入しておいた方が良いでしょうね。
「Mobizenを使えるSIM入りAndroid端末をマルチコプターに括りつけて飛ばす」
と、いうのが構成の骨子。
機体について:
一番重視するのは飛行時間。
そして最低限必要なのはスマートフォンを載せても飛行できるペイロード。
Phantom2 Vision+は標準状態で20分程度のフライト時間を誇ります。スマートフォンを乗せると、たぶん15分くらいには落ちるでしょう。安全を見ても12~13分ってところでしょう。
DJI Phantom 2 Vision+(左ダイアル付き内蔵型リポバッテリー送信機バージョン) P2Vi+JPnewversion
- 出版社/メーカー: DJI
- 発売日: 2015/01/31
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上昇 → ポータル上空への往路 → Ingress ハックなど → 離陸地点への復路
ポータル上空の活動時間は、離陸地点の距離にもよりますが安全を見て5分というのが限界じゃないかと思います。
機体についてはPhantom2に拘る必要は全くありません。
圧倒的に自分で組み立てた機体の方が安くなりますが、実はフライト時間に関して言えばPhantomシリーズは優秀(機体が軽い)で、たぶん自作機はもっと短くなると思ってください。
また、中国のメーカーが似たような機体で20分近くフライトするものを販売していますが・・・信頼性や飛行姿勢の安定性は、DJI製のメインコントローラーが圧倒的に現時点では優秀でしょう。あと、本当にスペック通りに飛ぶなんて、分かりませんw
安物買いの銭失いにならないという意味で、多数のユーザーによる実績があるDJI製の機体を私は推します。
カメラ映像表示用のデバイス:
もしPhantom2 Vision+にするなら、カメラは標準で機体には搭載されていますが、映像を見るためのデバイスとしてAndroidかiOSの機器が必要です。
たぶんどっちでも良いですが、より遅延が少ないのは、スマートフォンやタブレットのCPU性能の良いものです。
機体に搭載されているカメラは上下のチルト方向だけは、手元のプロポから操作ができます。目的地までは水平を向けて飛行し、目的地の近くになったらカメラを下にむけて、より正確にポータル上空まで移動すれば良いでしょう。(たぶんIngressのスキャナーを見ながらになるんだろうけど)
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機体取付用のAndroidスマートフォン:
- できるだけ軽いこと。
- SIMによる通信ができること。
- Ingressが動作すること。
- Mobizenをインストールして、リモート操作できるようになっていること。
- 無線LANとBluetoothは無効にしておくこと
以上が機体取付用のAndroidスマートフォンに求められる仕様だ。
とにかく、軽いほうが良い。
手元操作用のスマートフォン・PC:
- とりあえずインターネットに繋がる端末(操縦者の近くなら、無線LANは禁止)
- Mobizenを起動して操作が十分できるスペック
これらをクリアしておれば、何でも良い。
Windows、Mac、iOS、Android。どれでも良い。
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リモート操作はMobizen
自分の知ってる中で、Androidの端末を手軽かつマトモにリモート操作できるアプリがMobizenだけだったので推奨してます。他にもあれば、何でも良いと思う。
iPhoneでは同様のフル機能を操作できるリモートアプリを見つけられなかったんですよね・・・。
取付について
重心バランスを考えると、なるべく重心に近いところに取り付けてください。
Phantom2 Vision+の場合は、ジンバル部の後ろで、ちょうどバッテリーの収納部の下になるだろうか。無駄な部材で重くしたくないので、両面テープとマジックテープで固定できるとベストかな。
飛ばす前に
- 保険に入りましょう。
自動車保険の付帯なんかは、比較的広いとのこと。一度、自分の保険でマルチコプターの操縦による事故が対象になるか聞いてみましょう。 - 飛行範囲は目視の範囲で。
マルチコプターの基本は目視範囲で飛ばすことです。空中は電線があったりしますし、飛行中の異常は目視でしか判別できません。(カメラ映像は振動や傾きを補正するジンバルが優秀なので、異常動作のキッカケを見逃す可能性があります)
カメラの映像だけで飛ばすのは危険です。ましてやIngressのスキャナーだけで飛ばすなんてもっての外です。 - 操縦訓練を受けましょう。
DJI製品であれば、DJIジャパンや日本総代理店のセキドなどが体験会を定期的に開いています。
もし近所にマルチコプターやヘリコプターの経験者がいらっしゃれば、そういう方に指導を受けるのもアリです。
マルチコプターは簡単に飛ばせるかもしれませんが、異常動作になったら手動で操作するくらいの技量がなければ、トラブルに対応しきれません。(GPSモードだけでなく、せめてATTIモードで飛ばせるくらいは最低限として。) - 空港近くはNG。
航空法を守りましょう。
あとは飛ばしながら実用可能かを検証してみてくれ!
スペック上はできることは解ってるけど、スマフォ2台とか持ってないし実験できないから、誰か実験して結果を教えてください。
たぶん実用範囲はこれくらい:
- 目視可能な50mくらい。
カメラのFPV映像だけで飛ばせるようになっても、300mくらいかな。 - 海上は避ける。
風も強いけど、水に近いとVision+で使ってるコントロール用の周波数帯(920MHz周辺)が干渉しやすいという説。(海上で墜落している話をよく聞く) - 風速は5m/s以内で。
上空の風はまた違ったりするから、要注意。 - 夜間は避ける。
夜間飛行は難しいし、障害物が見えない。やるなら昼間に障害物の有無を調査するのは必須。